Koji Nakamura Masterpeace

この曲をつくるにあたってナカコーさんの中で、普段はやらない既存の曲の解体→再構築→再生という作業が存在したという事を聞き、それをテーマにした歌詞にするべきだろうと思いました。破壊された後に生まれた何かが、片言ながらも必死で世界とコミュニケーションを取ろうとしはじめる物語を、少しSF的な要素を加味することで歌詞に出来たら良いなと思いました。

曲を聴いた時に、閉ざされた雪の世界に春の日差しが降りてくるようなイメージが浮かんだので、それを歌詞にしてみました。

あと個人的に、ナカコーさんの声で「はなさない」と歌って欲しい気持ちがありました。実際に歌ってもらえて感無量です。

この歌詞のテーマは「スターではなく、もっと普通の日常に潜む様な輝き」である。曲自体はテクノの様に、ミニマルに段々と盛り上がって行くが、その感覚を生演奏で有機的に表現してます。だからナカコーさんが「Day of the diamond」と肉声でひたすら連呼しているところがこの歌詞と歌全体の肝です。大変かっこいいと思います。

『数式をうたう』ような詞にしたい、というところから出発しました。
聴こえてくる歌と、数式のような歌詞はダブル・ミーニングになっています。
聴くだけでは、若さや可能性を歌った曲にしか聴こえない。でも歌詞を読むと、全く別の次元――素粒子の跳躍するミクロの世界――が立ち現れてくるという仕掛けにしたかった。
歌では「わたしは知っている。君は止まらない」と聴こえるけれど、 歌詞では「わたしは知っている。君を時間微分する(dtで割る)と、その瞬間、君は止まっている」というまったく逆の意味になります。
「I + n ← U → n + Y」は化学式です。
ウラン(U)が核分裂すると、ヨウ 素(I)とイットリウム(Y)に分裂し、中性子(nはneutronの頭文字)を2コ吐き出します。この中性子が爆発的な核分裂連鎖反応を引き起こすのですが、これは原子爆弾の理論でもあり、原子力発電にも応用されています。
そして、天然の元素で最も重いウラン原子は核分裂(fission)しやすく、 天然の元素で最も軽い水素(H)は核融合(fusion)します。核融合は水素爆弾の基礎でもあり、太陽や星が輝く原因でもあります。
これらUやHを、youやheと歌うとおもしろいのではないか――数式の『別の読み方』を中村さんが歌っているように聴こえれば成功だと思います。
歌詞の全編に素粒子にかけた言葉を織り込んだので、つじつまを合わせるのに骨が折れましたが、聴けば聴くほど、知れば知るほど魅了されるような1曲になれば嬉しいです。

この楽曲は、各楽器をそれぞれ一度テープに落として、幾層にも広がる細かな「揺らぎ」を作って制作されたということでした。僕はその手法に興味を持ち、質問しているうちに、中村さんの音楽思想の根幹のひとつである「ミニマリズム」に行きつきました。
このミニマル談義は深夜まで盛り上がり続けた深〜〜い話だったので、すべては語れませんが笑、ざっくりいうと、「ミニマリズムとは原子レベルの振動に着目し、それらの揺らぎを愛でること。そして、毎日のあらゆる出来事を、単なる『揺らぎ』と受け止められたら、日々の喜びも悲しみも、うつろう美しき風景となる。」ということでした。(あ、これは僕の理解では、、ということですがw)
ま、僕らは、そこから、波(=揺らぎ)を信仰する架空の民族による神話にしてみよう、そしてその民族の設定はこうだよね?使ってる楽器は?などという話で盛り上がり、物語を創作しました。
この波族に関する記述は、魁!男塾の民明書房ばりのフェイク伝奇として、ウィキペディアにアップしておいたので 歌詞の中にでてくる波族の単語「アイナケシュ海岸」「ナーミッシュ」などを、ぜひ検索してみてください。歌詞の裏に無駄に広大なバックストーリーが広がってます笑。

『闇のなか雨に打たれる男』というイメージを中村さんからいただいたので、その情景がより鮮烈に浮かぶように言葉を選びました。
名もなき生命が現れては消えていく多義的でふくよかな世界感を目指しました。
大事なものは光ではなく闇の世界に住んでいる――雨がそれらをめちゃくちゃに撹拌しあらゆるものを『equal=イコール』で結んでしまう――暗闇の中で千変万化する生命の姿に美しさを見出だせたなら、人々の願いはひとつになるのではないでしょうか。
詞を書く、フィードバックをいただく、書き直す、レコーディングでまた変わっていく――その過程のすべてがひどく楽しかった作品です。

子供の様な感受性や想像力や素直な楽しみ方を忘れたくない、という気持ちを綴った曲。デモ音源でナカコーさんがサビ中「ビー・オー・ワイ」と繰り返し歌ってるようにしか聴こえず、自然とそこから歌詞のテーマが浮かび上がりました。「初心を忘れなければきっとうまく行くよ」みたいな無邪気なメッセージも感じ取れるかもしれません。

「冷たい、でも嫌いじゃない」というナカコーさんの抽象的な歌詞のイメージを元に書いたけど、これは短くてシンプルな曲だけに言葉選びを慎重にしなければならないと感じました。だから何パターンも書いてしまって、最終的には本人に一番好きなものを選んでもらいました。弱ってる相手を愛し続ける事を歌ってます。

日本語と英語の歌い方の違いをなるべくなくそうとはしたものの
内容のほうを選んだためとても難しかったです。
それでもナカコー君の歌がはいって安心して聞けました。
どうもありがとうございました。楽しかったです。

良い夢だったのか悪い夢だったのか、、、とにかくラストダンスを踊ろう、これで物語は終わり、ちょっと苦笑いまじりのハッピーエンド。
そんなストーリーを思い浮かべながら歌詞を書かせてもらいました。

余談ですが、ナカコーさんの歌入れにお邪魔した時に「DAISY」から急遽変更でこの曲でコーラスを歌わせてもらうことになり、緊張のあまり私の足は生まれたての小鹿ばりにガクガク震えました。

中村さんのセクシーさを引き出した春めいた胸キュン楽曲になればといいなと思い、書かせていただきました。
僕の歌詞がどこまで寄与できたかわかりませんが、「Cry」と共に、中村さんの独特のユーモアと優しさがにじみ出た名曲だと思うので、楽しんでもらえたら幸いです。

情景を描写することで物語を作る可能性はないかと考えました。ただそこに使われる言葉が一見無意味に見えて、結果何かの深淵に繋がってくれたらいいなと。深淵を覗きこみ恐怖を感じながらも、その深淵が本当に深淵なのかどうかは、こちら側にいてはわからない、という大人になったが故に言える事を歌詞に出来たら良いなと思いました。

作詞者プロフィール

ACO(あこ)

1995年、シングル「不安なの」でデビュー。
1996年、ファースト・アルバム『Kittenish Love』を発表。
1999年に発表した「悦びに咲く花」がヒット。
現在までに8枚のフルアルバムを発表。
最新アルバム『TRAD』、初のライブ・アルバム『LIVE LUCK』好評発売中。

ACO
http://acoaco.com/

京田知己(きょうだ ともき)

1970年1月22日生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像学科卒。アニメーション監督。2003年、劇場版『ラーゼフォン 多元変奏曲』で監督デビュー。主な作品に、TVシリーズ『交響詩篇エウレカセブン』がある。

永津愛子(ながつ あいこ)

1982年、福岡県生まれ。脚本家。
アニメーション制作会社を経て、現在フリーランス。
SUPERCAR時代から中村氏の音楽の大ファン。
宇宙飛行士の時間旅行を描いた音声ドラマ「エーテル」の劇中曲を中村氏に依頼したことで、初めて顔合わせが実現。
映画脚本「アポトシス」で『サンダンス・NHK 国際映像作家賞 2008』受賞。
日米合作映画「誰かが私にキスをした」日本版脚本(2010年公開)。
「エーテル」で『第40回・創作ラジオドラマ大賞』入賞。
連続オーディオドラマ「海に降る」脚色(2012年放送)など。


内田万里(うちだ まり)

ふくろうずのボーカル・キーボード担当。全ての作詞、作曲を担当し、カラフルで浮遊感あふれる楽曲と、繊細かつストレートな歌詞にふくろうず中毒者が急増中。好きな食べ物は肉。趣味は漫画。

ふくろうず Official Website
http://www.fukurouzu.com/

JINTANA(じんたな)(SIX.INC / Pan Pacific Playa)

マスとウェブを融合したブランディングを手かげるクリエイティブエージェンシーSIX.INCのクリエイティブディレクターであり、また横浜のアーバン&メロウな音楽集団Pan Pacific Playaのスティールギタリスト。
音楽を軸としたブランディング・キャンペーンのディレクションのほか、作曲/作詞なども手掛ける。
一十三十一らとのネオ・チルアウト・ドゥーワップバンド、JINTANA&EMERALDSは1stアルバムをP-VINEより2014年4月リリース。

SIX:http://sixinc.jp/
PPP:http://www.panpacificplaya.jp/blog/

LEO今井 (れお いまい)

日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティヴを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取るニュー・ウェーブ・シンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきたVISITORとしての視点に溢れている。近年は向井秀徳とのユニット「KIMONOS」での活動でも知られる。他に作曲家・作詞翻訳家としても活動中。

LEO IMAI
http://www.leoimai.com/

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